ハエとり壺からの出口2012/01/20

今日の言葉

哲学におけるあなたの目的は何か。 ハエにハエとり壺からの出口を示してやること。

     ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン
        『哲学探究』

部屋に飛び込んだ鳥、ビンの中のアリ。自分が置かれた大きな状況を理解するすべを知らないので、ただ暴れ回るばかりです。

ヴィトゲンシュタインは「言語ゲーム」などの言葉で、人の行為の意味づけや外延を考察しています。

ハエにとってのハエ取り壺、アリにとってのビン・・・人にとっては何になるのでしょうか。自分達には認識できないけど、自分を取り囲んで、行動を規制しているもの。外からは認識でき、その中の行動が哀れにおもえるもの。

政治家達が繰り返す政争、軍人達が繰り返すある種の戦争、学者達が繰り返す役に立たない知識の生産・・言葉が言葉を重ねていくあらゆる行為・・

国家、思想、主義、宗教信念、理想、夢、そして言語そのもの・・

そんなものから抜け出したい。そんな夢を描いたハエやアリができる唯一の事は「哲学する事」。哲学の意義を示したヴィトゲンシュタインの言葉は、受け止めるのに痛みを感じるほどです。

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