桜散る2012/03/27

音楽紹介 「桜散る」さだまさし


 みじかいけど、とても好きな言葉があります。


  春には春の花が咲き 秋には秋の花が咲き


ふと気がつくと、この言葉を繰り返している時があります。

この言葉だけ取り出せば、


  白は白 黄は黄のままに 野の小菊 
          
         とりかえられぬ 尊さを咲く


のように実存の美しさを頌える意味にもとれます。

また「日々好日」(毎日が素晴らしい日、それが苦しみの日だとしても)と、捉える事もできます。

そんな難しい意味でもなく、春には春の花が咲いて、のんびりお弁当を食べて、秋には秋の花が咲いて、お団子を食べて・・・と、力を抜いて受けとめても、素敵な言葉です。

でも、この言葉、本当はまったく違う意味なのです。出典はさだまさしの「桜散る」です。



  桜散る

  言い訳はしないでいいよ わかっているから
  愛しすぎる事は多分 愛さないと同じ
  いつでも君だけを みつめて生きて来た

  春には春の 秋には秋の
  それぞれの花が咲く様に

   いつか知らず知らず 君と僕の時計
   二つの針が時をたがえて
   季節が変わる様に 恋が逝く

  桜散る 桜散る 雪の面影なぞる様に
  桜散る 桜散る もう君が見えないほど


  胸をはっておゆき 僕の愛した人
  君が愛したものはすべて
  僕も同じように愛してきた

    今は無理だけれど
    いつか年老いたら
    君が愛した人を僕も
    愛せるそんな日が来るといいね

  桜散る 桜散る 思い出を埋めつくして
  桜散る 桜散る もう君が見えないほど
  桜散る 桜散る 雪の面影なぞる様に
  桜散る 桜散る もう君が見えないほど

              さだ まさし

そう、恋人との春の別れの言葉なのです。

春には、春の、秋には、秋の、花のように、時を違えてしまった二人が、異なる季節の彼方に行ってしまう・・・

そう言う意味です。言葉の破片は怖いものですね。

何か映画のシーン割りをつけたくなります。

桜並木の端で、二人が最後の言葉を交わし、男は立ち止まり、女性が桜吹雪の中を歩いてく、一度だけ、振り向いて手をふって、そして桜の花の遠くに消えていく・・・・・残るのは真っ白な桜の雲のようにつづく広い風景だけ。

最後に引いて、スパンしてお終いのタイトルが出てきます。

安物映画の作りですが、ほんとうにどこでも繰り返される出来事、安物映画ゆえの真実があるのかも知れません。

こうして、別れた二人なら、きっとしっかりした、道を歩き、いつか「君が愛した人を、僕も愛せる日」が来る」はずです。それは桜が人の想い、人の情念を、吸い取り浄化してくれるからかも知れません。

「桜の木の下には死体が埋まっている」と言ったのはだれでしたか。春の美と、そこに埋められた「死と再生のフォークロア」が、人の情念を浄化して、美しい思い出に変換させてくれるからに違いありません。

春の花に、命のいぶきとともに、ふと寂しい悲しみを感じるのはそのせいでしょう。静かに咲く夜桜は、それを強く漂わせます。

 めぐり逢う時は 花びらの中 
 ほかの誰よりも きれいだったよ
 別れいく時も 花びらの中 
 君は最后まで やさしかつた

            つゆのあとさき より
             さだ まさし



花は、人をであわせ、人を美しく別れさせます。

「花は、だから美しい。」そう思うと、春の花にいつも涙がこぼれます。

花で別れた二人なら、きっと新しい世界で、新たなる出会いを繰り返して、たくましく生きていく事でしょう。

だから、今、春の花の中をふたりで歩けるのは、最高に幸せな事なんでしょう。・・

次から曲を聴く事ができます。

http://www.youtube.com/watch?v=SCvEYgfyIuU

http://www.youtube.com/watch?v=klPC0tKseTc